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Q&A

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プロウペスの取り扱い/その他

Q1

プロウペスと同じ成分のプロスタグランジンE2錠は子宮収縮薬だが、プロウペスが子宮頸管熟化剤である理由は?

 A.

プロスタグランジンは半減期が数分と大変短く、分泌されると近傍の細胞にのみ作用して生理活性を発揮するため、局所ホルモン(オートクリン、パラクリン)と呼ばれています1)。プロウペスの有効成分であるジノプロストン(プロスタグランジンE2)は、子宮頸部に作用すると主に子宮頸管熟化に働き、子宮体部に作用すると主に子宮収縮に働きます。そのため、プロウペスは標的部位である子宮頸部(後腟円蓋)に留置し、局所的に投与(経腟投与)することで子宮頸管を中心に効果を発揮し熟化作用を示します。
ただし、子宮体部にまったく作用しないということではないため、プロウペスを用いた子宮頸管熟化にあたっては、子宮収縮薬と同様に分娩監視装置を用いた連続モニタリングに加え、定期的にバイタルサインをモニターする等、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には適切な処置を行っていただくようお願いします。

Q2

プロウペスを冷凍庫から取り出した後、使用開始まで室温にさらされるのは問題か?

 A.

プロウペスは冷凍庫から取り出した後、室温に戻す必要はなくそのまますぐに投与できます。プロウペスの有効成分であるジノプロストンは、室温できわめて不安定であり、-20℃程度で保存すると安定するため、-20℃以下の冷凍庫で保存してください。25℃で16時間保存した試験(サイクル試験)2)では問題ありませんでしたので、室温での保存は数時間程度としてください。

プロウペスの各種条件下における品質安定性試験2)

試験 保存条件 保存形態 保存期間 結果
低温保存
試験※1
-40℃ アルミ
ラミネート袋
36ヵ月
( 1 2 、2 4 、3 6ヵ月時点で測定)
規格内
サイクル
試験※2
-10~-25℃(6日)→
[温度サイクル開始]
25℃(16時間)
→ -10~-25℃(72時間)
→ -80℃(24時間)
→ -90℃(20日)
→ -10~-25℃(24時間)
→ 5℃(24時間)
→ -10~-25℃(24時間)
→5℃(24時間)
→ -10~-25℃(72時間)
→ 25℃(8時間)
→ 5℃(28日)
[温度サイクル終了]
→ -10~-25℃(36ヵ月)
アルミ
ラミネート袋
約36ヵ月
(製造時、温度サイクル前、温度サイクル後、3、6、9、12、18、24、36ヵ月時点で測定)
規格内
冷所保存
試験※2
2~8℃ アルミ
ラミネート袋
9ヵ月
(1、2、3、6、9ヵ月時点で測定)
含量は規格内であったが、一部の類縁物質及び類縁物質総量が6ヵ月時点で規格外。合わせて白色又は微黄色の親水性ポリマーの性状が、類縁物質の増加に伴い黄色に変化。

※1 測定項目:性状、純度試験、含量、微生物限度試験(開始時及び36ヵ月時のみ実施)、放出性、乾燥減量
※2 測定項目:性状、純度試験、含量、微生物限度試験(サイクル試験では製造時と36ヵ月時点のみ実施)、放出性、乾燥減量〔サイクル試験では25℃(16時間)から5℃(28日)の間は実施せず〕

参考

プロウペスのその他の品質安定性試験2)

試験 保存条件 保存形態 保存期間 結果
低温後の冷凍保存試験 2~8℃(3ヵ月)
→ -10~-20℃(33ヵ月)
アルミ
ラミネート袋
36ヵ月
( 1、2、3、6、12、24、36ヵ月時点で測定)
1~3ヵ月時点で外観が若干黄色に変化し、含量も徐々に低下したが規格内であった。分解物の量も規格内であった。再凍結後は徐々にわずかに含量が低下したが規格内であった。
室温から低温保存後の冷凍保存試験 25℃(24時間)
→ 2~8℃(3ヵ月)
→ -10~-20℃(33ヵ月)
アルミ
ラミネート袋
36ヵ月
(1、2、3、6、12、24、36ヵ月時点で測定)
1~3ヵ月時点で外観が若干黄色に変化し、含量も徐々に低下したが規格内であった。ただし、一部の分解物は12ヵ月まで規格内であったが、24ヵ月時点では規格外となった。
室温から40℃保存後の冷凍保存試験 25℃(48時間)
→ 40℃(24時間)
→ -10~-20℃(36ヵ月)
アルミ
ラミネート袋
36ヵ月
(3、6、12、24、36ヵ月時点で測定)
外観が若干黄色に変化し、含量も徐々に低下したが規格内であった。分解物も徐々に発生したが規格内であった。

※:1ロットでの試験結果
測定項目:性状、純度試験、含量、放出性(開始時、12ヵ月、24ヵ月及び36ヵ月時点のみ実施)、乾燥減量(開始時、24ヵ月及び36ヵ月時点のみ実施)

Q3

プロウペスを挿入しにくい場合の対処法は?

 A.

少量の水溶性潤滑剤を使用すると挿入しやすくなります。エコー時に用いられるようなゲル状の水溶性潤滑剤を使用します。腟内とできるだけ同じ環境とすることで本剤からのジノプロストンの放出や組織への吸収に影響を与えないことが重要ですので、産科クリーム等、油性のゲルは使用しないでください。

1)和泉俊一郎他:周産期医. 2016: 46(S); 286-289.
2)社内資料:プロウペス腟用剤10mgの安定性