製品概要
国内多施設共同非盲検第Ⅲ相試験(261試験、検証試験)1、2)
社内資料:国内多施設共同非盲検第Ⅲ相試験(261試験)[承認時評価資料]
伊東宏晃他:産科と婦人科. 2021: 88(4); 505-514.[フェリング依頼臨床試験]
目的 | 子宮頸管熟化が必要な妊娠末期の妊婦(妊娠37週以上41週未満、ビショップスコアが4点以下)を対象にプロウペス1個を最長12時間腟内に留置したときの子宮頸管熟化促進における有効性及び安全性を評価する。 | ||||
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デザイン | 多施設共同、非盲検試験 | ||||
対象 | 子宮頸管熟化が必要な妊娠末期の妊婦(妊娠37週以上41週未満、ビショップスコアが4点以下)68例 | ||||
方法 | 本剤(ジノプロストン10mg含有)1個を後腟円蓋の高い位置に横向きになるように挿入し、投与後少なくとも30分間は臥位で安静にさせ、最長12時間腟内に留置した。投与後3、6、9及び12時間にビショップスコアを評価し、投与12時間後に本剤を除去した。分娩データ、新生児所見、出産データを記録し、胎児娩出後から退院するまで、安全性について経過観察を行った。 | ||||
主要評価項目 | 子宮頸管熟化成功(投与後12時間以内にビショップスコアが7点以上又は経腟分娩のいずれかに至った場合)の割合 | ||||
副次評価項目 |
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探索的評価項目 | 投与後3、6、9及び12時間時点にビショップスコアが7点以上又は経腟分娩のいずれかに至った割合 等 | ||||
解析計画 | 全ての有効性評価項目の統計解析に両側95%信頼区間(以下、95%CI)を使用し、最大の解析対象集団(FAS)に基づいて行った。事前に本試験の対象に仮にプラセボを12時間投与した場合の子宮頸管熟化成功割合を20%と設定し、この成功割合を本剤投与時の95%CIの下限が上回った場合に試験の成功と定義した。 主要評価項目及び副次評価項目(初産婦及び経産婦の子宮頸管熟化成功の割合、投与後12時間以内に経腟分娩に至った割合、投与後12時間時点におけるビショップスコアがベースラインから3点以上増加した割合)は、ベースラインのビショップスコアを共変量、時点(本剤投与後3、6、9、12時間)を固定効果とした反復測定の共分散分析モデルを用いて解析したが、審査の過程において、これらの評価項目は評価指標及び評価項目の特性から正確法による解析がより適切と考えられたため、正確法による解析を行った。上記以外の副次評価項目は有効割合を要約し、正規近似に基づき95%CIを算出した。 また、一部の副次評価項目(初回入院期間中の投与からアクティブな分娩開始までの時間、初回入院期間中の投与から経腟分娩、帝王切開及びあらゆる分娩様式での分娩までの時間、本剤除去後に器械的頸管熟化処置を実施した妊婦における処置時間)は記述的に示した。 |
患者背景、ベースラインのビショップスコア評価(FAS)
プロウペス(n=68) | ||
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年齢(歳)、平均値±標準偏差 | 33.0±5.52 | |
BMI(kg/㎡)、平均値±標準偏差 | 27.12±4.934 | |
初産婦 経産婦 出産回数 |
1回/2回 |
46(67.6) 22(32.4) 18/4 |
分娩誘発の主な理由 | 妊娠糖尿病 | 10(14.7) |
妊娠高血圧 | 9(13.2) | |
巨大児 | 6(8.8) | |
妊娠の継続が母体の危険を招く恐れがある | 29(42.6) | |
過期産予防 | 4(5.9) | |
妊娠中の顕性糖尿病 | 1(1.5) | |
前期破水 | 7(10.3) | |
墜落分娩予防 | 2(2.9) | |
推定在胎期間(日)、平均値±標準偏差 | 273.6±7.32 | |
初回入院期間の卵膜の状態 | 本剤投与前に破膜 | 8(11.8) |
本剤投与後に破膜 | 57(83.8) | |
人工破膜/自然破膜 | 19/38 | |
欠測a | 3(4.4) | |
ビショップスコア合計スコア | 0〜2 | 32(47.1) |
3〜4 | 36(52.9) | |
子宮口開大度 | 0㎝ | 21(30.9) |
1〜2㎝ | 47(69.1) | |
頸管展退度 | 0〜30% | 37(54.4) |
40〜50% | 31(45.6) | |
児頭の位置 | -3 | 44(64.7) |
-2 | 24(35.3) | |
子宮頸部の硬度 | 硬 | 23(33.8) |
中 | 45(66.2) | |
子宮口の位置 | 後方 | 56(82.4) |
中央 | 12(17.6) |
例数(%)
a:初回入院期間中に出産しなかった妊婦又は破水前に帝王切開で出産に至った妊婦
子宮頸管熟化成功割合<主要評価項目>
子宮頸管熟化成功割合(95%CI)は57.4%(44.8-69.3)であった。
子宮頸管熟化成功の定義:投与後12時間以内にビショップスコアが7点以上又は経腟分娩のいずれかに至った場合
副次評価項目
【帝王切開を行った理由】
初回入院期間中に帝王切開を行った5例は初産婦で、いずれも有害事象の発現によるものであった。その内訳は、分娩過程停止3例、分娩誘発不成功1例、胎児心拍数異常1例であった。いずれの事象も本剤との因果関係は否定された。
【子宮収縮薬の投与量】
本剤除去後から胎児娩出までに、オキシトシンが42例に、PGE2が3例に、PGF2αが7例に使用され、投与量〔平均値(95%CI)〕は、それぞれ5.47U(4.09-6.85)、1.33mg(0.00-3.23)、5.94mg(4.62-7.26)であった。
【器械的頸管熟化処置時間】
本剤除去後に器械的頸管熟化処置を実施した11例の器械的頸管熟化処置時間〔平均値(95%CI)〕は、13.4時間(8.8-18.0)であった。
投与後3、6、9及び12時間時点にビショップスコアが7点以上又は経腟分娩のいずれかに至った割合<探索的評価項目>
投与後3、6、9及び12時間時点にビショップスコアが7点以上又は経腟分娩のいずれかに至った割合(95%CI)は、それぞれ、13.2%(6.2-23.6)、33.8%(22.8-46.3)、45.6%(33.5-58.1)、57.4%(44.8-69.3)であった。
<安全性>
プロウペスを投与した68例の投与時間(平均値±標準偏差)は8.33±3.732h(範囲:1.4~12.3h)であった。
副作用
全試験期間を通じて、副作用は68例中6例(8.8%)に認められ、発熱が2例(2.9%)、悪心、血圧上昇、胎児機能不全心拍パターン、胎児頻脈、胎児心拍数異常が各1例(1.5%)であった。重篤な有害事象は20例(29.4%)に報告されたが、いずれの事象も本剤との因果関係は否定された。本試験において中止に至った有害事象は認められず、また妊婦、胎児及び新生児に死亡は認められなかった。
副作用:全試験期間(安全性解析対象集団)
プロウペス(n=68) | |
副作用 | 6(8.8) |
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心臓障害 | 2(2.9) |
胎児機能不全心拍パターン | 1(1.5) |
胎児頻脈 | 1(1.5) |
胃腸障害 | 1(1.5) |
悪心 | 1(1.5) |
一般・全身障害及び投与部位の状態 | 2(2.9) |
発熱 | 2(2.9) |
臨床検査 | 2(2.9) |
血圧上昇 | 1(1.5) |
胎児心拍数異常 | 1(1.5) |
例数(%)
MedDRA/J Ver 21.0
1)社内資料:国内多施設共同非盲検第Ⅲ相試験(261試験)[承認時評価資料]
2)伊東宏晃他:産科と婦人科. 2021: 88(4); 505-514.[フェリング依頼臨床試験]